家族が知っておくべき大切なこと

「家族支援」のヒント

当事者の回復を支えるために、

家族が具体的にどう向き合い、何を大切にすればいいのか

 一人で抱え込まず

一緒に歩いていきましょう


当事者を支える立場にいるご家族は、「もっとうまくサポートできたはずなのに」「自分のせいでこうなってしまったのではないか」と、自分を責めてしまうことがあります。
特にお母さんという立場の方は、「この子をなんとかしなければ」という強い責任感と愛情を抱えながら、誰よりも必死に向き合ってこられたことと思います。


その一生懸命さが強いほど、「正しい方法で解決しなければ」と思う気持ちに意識が集中し、客観的に状況を見ることが難しくなることもあります。それは、懸命に我が子を守ろうとしてきた証でもあります。

お母さんも、「本当に苦しかったね」「大変だったね」そう言ってもらえる場所があることで、ご自身の気持ちが少し楽になり、状況を客観的に見る余裕が生まれてきます。
ここは、同じように悩み、向き合ってきた家族が集まる場所です。

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回復への道を一緒に歩むために 

摂食障害からの回復には、病気そのものだけでなく、当事者が感じている「生きづらさ」や生活上の困難を理解することが大切です。 まず、当事者の病状や状態を正しく捉え、現在どの段階にいるのかを知ることが、回復を支える第一歩となります。

 また、生活のしづらさや生きづらさが、摂食障害特有の思考によるものなのか、もともとの性格や資質によるものなのかを整理して理解することで、関わり方の幅が広がります。 
病状の段階によって、必要な支え方は変わります。 その時々の気持ちや感情を受け止めながら段階に応じたケアを行うことが重要です。 特に大切なのは、当事者の心理的な欲求に対して、適切なタイミングで具体的な対応ができることです。

 心理的要求とは 

摂食障害などの問題の背景には、「わかってほしい」「安心したい」「自分を認めてほしい」という心理的要求が満たされにくい苦しさが隠れていることがあります。しかし当事者も、「本当は何を求めているのか」「どう伝えたらいいのか」がわからないことが多く、その苦しさが『食べない』『食べて吐く』『自分を責める』などの行動として表れてしまうことがあります。
 

大切なことは、行動だけを見るのではなく、その奥にある「心の求めているもの」に目を向けることです。「どうしてそんなことをするの?」ではなく「何が不安なのかな」「何をわかってほしいのかな」「どんな気持ちなのかな」と考えることで、関わり方のヒントが見えてくることがあります。 


 そのためには、段階ごとの傾聴・受容・共感・質問の方法を理解し、状況に合ったコミュニケーションの取り方を学んでいく必要があります。「今、何が必要なのか」「なぜそれが必要なのか」を一緒に考え、必要な支援を理解しながら行動につなげていくことが回復を支えていきます。 

摂食障害は、回復までに長い時間がかかることも少なくありません。 慢性化する可能性も見据え、焦らず、当事者とともに改善への道を歩む「伴走する姿勢」が大切です。また、家族が当事者と暮らしていくうえでは、家庭生活と社会生活を分けて考えることも重要になります。日常生活をどのように整え、どのように支えていくかを、現実的に考えていくことが回復を支える土台となります。

 この病気は、「自分を成長させていくこと(自分を育てていくこと)」によって、少しずつ改善していきます。いっきに治るものではなく、さまざまな経験を重ねる中で気づきを得ながら、自分自身を育てていく過程が大切になります。

嫌なことや辛かったこと、思うようにいかなかった出来事など苦しい体験もたくさんあります。 それらをなかったことにするのではなく、「そういう体験をした自分」を受け入れ、自己肯定していくことで、体験は「経験」へと変わります。その経験は、やがて「自分の力」となります。自分の力が育っていくことで、物事の捉え方や基準値、価値観は少しずつ広がっていきます。

日常生活の中で、今自分が行っていることを肯定する。この「体験の肯定」を積み重ねていくことが、自分を成長させることにつながります。そこには家族の支援が欠かせません。病状や治療は医療者に任せ家庭生活の中では、精神的・心理的な成長を育んでいきます。子どもたちが生きやすい「力」と、たくましい「心」を築いていけるように、親である私たちも共に力をつけていきましょう。 

 1.当事者とどう関わればいいのか(コミュニケーション)

「変えよう」とするのではなく「今の当事者の気持ち」に寄り添うことから始まります。


・否定や説得ではなく「寄り添い」を

正論で説得するよりも、当事者のつらさを理解しようとする姿勢が大切です。

・アドバイスよりも「聞き役」に

 指示やアドバイスばかりをするのではなく、まずは本人の思いを受け止めます。

・信頼関係を最優先に

焦って変化を急がせず、安心して話せる関係を築き直します。


2. 日常生活での困りごとへの対処

日々の生活で起こるトラブルや変化に、家族で足並みを揃えて対応する力を身につけます。

・一貫した関わり

 家族間でルールや対応がバラバラにならないよう、情報を共有し協力します。

・「どう受け止めるか」を学ぶ

 起きている問題を感情的に捉えず、冷静に対応する方法を身につけます。

・トラブルへの備え

 急な体調変化やパニックなど、いざという時の対応力を少しずつ蓄えていきます。

3. 家族ができる具体的なサポート方法

家族だけで抱え込まず、適切な距離感と協力体制をつくります。

・適切な距離感を保つ

過干渉(やりすぎ)にならず、当事者が自分で考える力を奪わない距離を見極めます。

・主治医との協力

医師に任せきりにせず、家族が気づいた変化を伝え、共に治療を支えるチームになります。

・家族自身が安心できる場

家族会や相談会を活用し、家族自身が「一人ではない」と思える心の余裕を持ちます。


4. 家族が身につける「支援の力」

家族の姿勢が変わることは、当事者の「回復しようとする力」を引き出す大きな力になります。

・正しい知識を持つ

摂食障害を正しく理解し、客観的な視点を持てるようにします。

・「聴き方・伝え方」の工夫

日々の会話の中でのちょっとしたコミュニケーションのコツを学びます。

・長い目で見守る

社会復帰を焦らず、本人の心の成長を一歩ずつ応援する姿勢が大事です。